ランちゃんの学校-1

 昨年のちょうど今頃、帰省した叔父さんに連れられて1人の少年がうちに働きに来ました。
 年齢を訊くと16歳とのこと。どう見ても10歳以上には見えません。が、叔父と甥の二人が口をそろえ、田舎は町と違い栄養状態が悪いから小さいのだ、と云いはります。
 インドでは16歳以下の少年は働けないことになっていますから、こう言いつのるのも無理からぬことですが、それにしてもあまりにも幼すぎます。が、「口減らし」との言葉が頭をかすめ、学校に行くことを条件に働いてもらうことにしました。
 彼の名前はランジット。年齢は…本人は無論、親も本当の年を知らない(覚えていない)ようです。
 彼の言動を見ていると、見かけよりももしかしたら高齢なのかなぁ、とは感じるものの16歳ではない…。 
 甲高いボーイソプラノでコロコロ笑う声を聞いているとラン「ちゃん」と呼ぶのが一番ピッタリきます。
 
 ランちゃんはこの辺りの家で働く多くのお手伝いさんたち同様、インドで一番貧しいといわれるビハール州の出身です。 両親は小作人。四人兄弟で上からランちゃん(12才?) 弟(10才?) 妹(8才?) 妹(5歳?)の順です。
 
 彼は自分の家がいかに貧しいか、話します。
 小作人は種、肥料、労働を提供し、収穫は地主と折半。
 地主から乳牛を借りると、餌と労働はこちら持ちで、ランちゃんが売った牛乳代金は、これまた折半。
 村での彼らの暮らしでは、毎日「チャイ」が飲めなかった、と云います。
 村には水道がなく、遠くの井戸まで水汲みに行くのもランちゃんの仕事の一つだったそうです。
 又、電気がなく、金持ちの発電機から電気を購入。これで灯るのは裸電球1個…の生活です。
 彼はデリーに来るまで、ガスレンジ、水道、なんと「トイレ」!!を見たことがなかったそうです。アイスクリーム、ケーキも食べたことがなかったって。
 
 突然、親から離れ、見ず知らずの、それも異人の家に来て、その日から一人で寝る心細さと云ったら、なかったんじゃないかしら。今から思い返しても、あんな小さな子がよく頑張ったな、と頭が下がる思いです。ランちゃんの頑張りに、崖っぷちの貧しさを感じます。
 
 さて、このランちゃんが、学校へ行くよりお金を稼ぎたい、と考えるのは当然だったかもしれません。
 制服、カバン、靴と買い揃えたのに…私が学校へ行きなさい、と云うのに「うん」と云ったり、沈黙で答えたり…そうこうするうちに、いい働き口が見つかり、突然辞めていってしまいました。その唐突さ、と云ったら…
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by sapnabb | 2007-12-09 11:20 | ★インドよりメッセージ
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